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職場モチベーションラボ
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SIOSが推進するDEIの取り組み(前編)

働き方改革が打ち出され、日本でもダイバーシティ(多様性)への取り組みが注目されるようになりました。近年はダイバーシティのみならずダイバーシティ&インクルージョン(包容、受容)の推進、さらにはイクイティ(公平性)を加えて、DEI推進を経営戦略の重要課題として掲げる企業が増えています。今回は弊社におけるDEI推進の現状や、DEIの推進と「Willysm」の関係などを、DEI推進サービスラインの担当者が解説します。前編ではDEI推進サービスラインが発足した経緯やDEIを実現するための施策について、後編では新たに開始したワークショップやDEIの推進に「Willysm」がどのような役割を果たすかなどをお話します。

Interviewee:塚元 恵梨奈、野田 勝彦、藤嶋 菜穂子(DEI推進サービスライン)

<DEI推進SLの前身、D&I推進SL発足の経緯>

現在、DEI推進サービスライン(以下サービスラインはSLと記述)では3人のメンバーが、弊社のDEIの実現に向けて活動しています。DEIとはすでに広く知られているように、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包容、受容)の頭文字を取ったもので、企業の成長と個人の幸福がともに在るために提唱された概念です。

多様性と訳されるDiversityは文字通り、個人や組織内に存在するさまざまな違い、多様な相違を表します。ではEquityやInclusionはどうでしょうか。公平性と訳されるEquityは、組織ならその組織に所属している誰もが「公平に対応されていると実感できる状態」をさし、包容や受容と訳されるInclusionは組織ならその組織に所属している誰もが「受け入れられ、認められていると実感できる状態」をさします。

弊社では2020年9月に、DEI推進SLの前身であるD&I推進SLが立ち上がりました。そのきっかけは女性の雇用率の改善に取り組んだことでした。2019年5月に女性活躍推進法が改正され、女性の活躍に向けた取り組みが重視されるといった世の中の流れも影響していたと思いますが、弊社でも女性の雇用者数を増やすにはどういった施策が必要かを模索していました。

そうしていくうちに、雇用戦略にしても女性活躍という局所的な視点だけでなく、全社的に働き甲斐を高めるDiversity&Inclusionという視点が不可欠だということに思い至り、専属部隊としてD&I推進SLの創設が立案されました。会社が発表したD&I推進活動部員の募集に手を挙げたのが現メンバーの3人です。こうして正式に弊社のD&I推進事業が始動しました。

<D&IからDEIへ、そして本格始動>

D&I推進SLは、すべての社員が幅広い多様性(ダイバーシティ)を理解して発揮し、なおかつすべての社員が他の人の多様性を受け入れる、受容する(インクルージョン)、それを目指して活動を開始しました。「多様性を受け入れる」と聞くと、女性やマイノリティ、障害者など、特定の存在を理解するといったメージを持つ人も多いようですが、対象はすべての人なのです。会社組織で言えば、従業員全員が対象であり、全員が関わるものと考えています。

D&Iが企業風土として定着すれば、社員はみな働き甲斐のある会社であることを実感できるようになります。その結果、さらに多様性が相互作用をもたらし、イノベーションが起きれば、生産性や企業価値の向上につながっていきます。その好循環を生めるよう、発足当初、D&Iを推進するための施策として、
  • ・経営層の想いや考えを共有する施策
  • ・関係の質を高める施策
  • ・心理的安全性を高める施策
  • ・多様性を発揮できる環境づくり
の4つを掲げ、3人でできることから取り組み始めました。

立ち上がって2カ月後、経営層からSL名をD&IからDEI に変更してはどうかという提案がありました。サイオスグループの米国事業会社から「海外ではD&Iから進展し、DEIという考え方が主流になっている」という情報がもたらされたからでした。

加えられた「E」のEquity(イクイティ)は公平性を意味します。誰にでも公平に機会が与えられるということは、非常に大事なことだと私たちも認識し、名前の変更に至りました。もともと概念としてはD&Iの中に含まれていたかもしれませんが、きちんと明記しようということになり、2021年1月に正式に変更して再スタートを切りました。

<心理的安全性をキーワードに1on1を活用>

3人とも他部署との兼任ですが、毎週2回は定例ミーティングを実施しています。それ以上にそれぞれが割け得る時間をDEIをいかに浸透させるかに費やし、思索や作業を重ねています。

まず主だった2つの施策に着手しました。活動を進めるうえで私たちが重要視していたキーワードが「心理的安全性」でした。心理的安全性とは「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した言葉です。米ハーバード大学の組織行動学の研究者エイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱した概念で、「ほかのメンバーに非難される不安を感じることなく、安心して自身の意見を伝えることができる状態」をさすといわれています。Googleが行ったリサーチなどからも、心理的安全性の高い組織では「リスクを取ることに不安を感じることなく、誰も自分を馬鹿にしたり、罰したりしないと確信できる」ことが分かっています。

心理的に安全でなければ、多様性は発揮できないと考え、心理的安全性を高めるための施策を話し合いました。まず挙がったのが、「1on1(ワン・オン・ワン)」ミーティング(管理職と部下の1対1での対話、以下1on1)の活用でした。

定期的なコミュニケーションによって部下への理解を深めるツールとして、近年日本でも1on1を導入する企業が増えており、弊社もすでに数年前にスタートしていました。上司と月1回、30分程度面談し、部下は自分が掲げた目標に対して進捗具合を伝えたり、どんなキャリアを描いているかなどを話したりしてきました。この1on1を、心理的安全性を高めるためのツールとして、さらに有効活用していこうということで、ブラッシュアップに着手しました。

<サイオス流進化型1on1を実施>

これまでは上司と実施していた1on1を、誰と対話してもよいことにしたのです。1on1の相手は経営層でなくてもよく、自分より若手でも、違う部署の人でも、誰にリクエストしてもいいことにしました。

弊社ではGoogleカレンダーを使ってスケジュールを共有しているため、全員の予定を見ることができます。そこで、相手のスケジュールを確認して、1on1のリクエストをするのです。月に何人と、という決まりはありません。対話時間は30分から1時間程度ですが、話の内容に制約はありません。

ある社員は「月5人ぐらいと1on1をやりました。他の部署のマーケティングはどんなことやっているのかなとか、今こんなことで悩んでいるんですよと相談したり、日常的には他の部署の人とコミュニケーションがないので、他の部署でどんなことをやっているのかを聞けるのがいい」と語っていました。

さらに、あるSLではDEI推進SLのメンバーが「シャッフル1on1」を企画しました。これはSLのメンバーをシャッフルして2人の組み合わせをつくり、その月に1on1を行うことを勧めるというものです。10月から3か月間をトライアル期間として実践中です。

このように安心して心を開き、気兼ねなくコミュニケーションを取る機会を意図的に設けることで、個々人が関係の質を高めることができ、ひいてはDEIへの理解につながっていくものと考えています。

<経営層への理解、受容を具現化した施策>

もうひとつ、心理的安全性を高める施策として実施したのが、社内向けのライブ配信「SIOS Channel」です。自分が所属している会社が何をやろうとしているのか、経営層の人たちが何を考えているのかを知ることは、組織への信頼感、安心感を醸成するためには重要なことです。

DEI推進SLの1人で中途採用のメンバーは、入社して2年程、社長以外の経営層の顔が分からなかったといいます。「会社を経営している人たちなのに、顔も声も聞いたことないという状況でいいのだろうか」、そういった思いがSIOS Channelを始めたきっかけとなりました。SIOS Channelでは社長をはじめ、経営層の役員一人ひとりが個人的に考えていることを発信します。会社の方針を伝えるのではなく、役員の人となりが伝わるような方向性を重視しています。SIOS Channelはいわば経営層の想いを社員と共有する場、経営層と社員の距離を縮めるツールです。

ライブ配信は月に2回、これまで17回実施しました。私たちはSIOS Channelによって、刻々と変化する経営環境と経営層の想いを、全社員が理解することで思考・行動の質を高め、それぞれの多様性を発揮して業務に取り組み、結果的にイノベーションにつながることを期待しています。

社内向けのライブ配信「SIOS Channel」の様子

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