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Willysmをコミュニケーションツールとして障がい者雇用に有効活用

サイオステクノロジー株式会社/総務サービスライン Interviewee:左から 佐々木和子、杉野喜昭

サイオステクノロジー株式会社/総務サービスライン
Interviewee:左から 佐々木和子、杉野喜昭

――Willysm を導入した部署について

 総務サービスラインは2021年3月に新設した部署で、障がいのある方が活躍しているサービスラインです。新設と同時に5名が入社し、さらに5月に2名増えたので、現在は7名が所属しています。7名ともフルタイムで勤務しており、ECサイトの出荷、ソフトウェアのメディア作成、カタログ印刷、執務室の消毒などの軽作業に従事しています。

 当社は2016年にWillysmを導入したのですが、以降は会社のシステムとして会社のパソコンに設定されています。システムというものは仕事の情報を管理するためのものと思っていたので、初めてWillysmの説明があったとき、アプリケーションで人の気持ちを可視化するという機能、また思考を変えるという目的があるのは面白いなと思いました。

――使用した感想をお聞かせください

 Willysmに関しては、入社のオリエンテーションで人事総務から、「自分の感情を色で表すシステムを導入しているので、絶対ではないけれど、なるべく毎日入力してください」という話をしています。

 障がい者の方は就労移行支援事業所で自己分析や、自分の感情を可視化する、表現する、あるいは言語化するという訓練を積んできているので、自分の気持ちを色で表して知らせるということに、健常者の方より抵抗が少ないのではないかと思いました。

 メインで使っている機能は色で表す「今日の気持ち入力」です。「3グットシングス」に入力しているのは5割、6割くらいでしょうか。障がいの種別にもよりますが、知的障がいや身体障がいの方だと、簡単にポンポンと色を選べるのでいいかなと思います。発達障がいや精神障がいの方はこだわりの強い方が多いので、黄色と青の中間くらいかなとグラデーションをつけたいと感じて、3色しかないことが逆に選びづらさにつながるケースがあるようです。

 それでも業務日報を記入する流れで、「Willysmにも気持ちを入れてください」と促すと、すんなりやってくれます。業務日報にも精神面に関する設問はあるのですが、業務日報だけでは拾いきれない感情の動きや全体な気分は、Willysmを見て確認することがよくあります。振り返ったときにも「月初は黄色が多い」とか「この1週間、赤が続いている」といった状況が、視覚的かつ即時に把握できて助かっています。

 業務日報とWillysmはどちらかが補完的な役割をしているというのではなく、両方あって、より理解を深められるツールです。その方の直前の様子を把握するには業務日報が分かりやすいかもしれませんが、1週間、2週間といった単位での精神的な状況を把握するときにはWillysmのほうが分かりやすいと思いました。

――何か印象に残るエピソードはありますか

 人によって温度差というか、色の選択の違いはあります。さほど落ち込んでいないようでも「赤」を入れていたり、些細なミスだし、こちらが大したことないだろうと思っていても、本人はけっこう悩んでいるということが、Willysmの入力で分かったこともありました。これはけっこう印象に残っています。

 障がい者の中には、言葉ではなかなか説明できない方やアラートを出すのが不得手な方もいます。ですが、このような点は障がいのあるなしにかかわらず、新入社員の場合も然りなのではないでしょうか。10年、20年勤めていても、なかなかヘルプが出せない人もいたりしますから、1つのミスに対して、その人がどのくらい重大に思っているか、心理面を可視化するWillysmのようなシステムは重要です。

 また色の選択の仕方が障がい特性やその人の思考傾向とリンクしていることが分かりましたし、色の選択の仕方によってその人の状態に気づいてあげられ、すぐに声をかけてあげられることは双方にとって有意義なことです。

 当社のWillysmは自分の気持ちだけでなく所属しているチームやグループの人の気持ちが見えるように設定されています。今のところWillysmの色を見て、従業員同士が直接声をかけ合うということはまだできていないのですが、個々に面談をしたときに「Aさんはずっと赤いけれど、大丈夫ですか」などと他の従業員を心配する声を聞いたことがあります。従業員同士、どのようにコミュニケーションをとってよいのか分からないかもしれませんが、Willysmは雇用側とのコミュニケーションツールとして十分に機能しています。

――追加してほしい機能はありますか

 いま最も希望しているのが気象情報との連携です。「気象病」という言葉を聞いたことはありませんか? 気温、湿度、気圧などが心身に影響し、不調を招くケースがあるのです。実際に気分障がいの方の中には、気温が1度や2度下がっただけで、落ち込んでしまう方がいます。例えば「月初には気温が不安定で体調を崩しやすいけれど、月初でも元気なときがあったのは晴れが続いていたからだ」といった具合に、気象と関係があることが分かれば、プラスの方向に誘導してあげやすいし、本人も安心できます。

 気象情報を得ることで、その方が影響を受ける傾向が分かれば、本人と一緒に対応を考えることができるので、気象データと気持ちの変化が月間で見られる機能が追加されたら、ありがたいなと思っています。

 気象情報との連携はメンタルヘルスケアにも一役買うのではないかと思います。リモートワークによって屋内にこもりがちになり、日光を浴びる機会が減少すると鬱症状になりやすいといわれているので、「日光を浴びながら1日10分歩きましょう」といった標語が定期的に表示されるなど、そんな機能があってもいいかもしれません。

 最後に、3グットシングスの記入欄に関する希望です。発達障がいの方の中には注意されたり、指摘を受けたことに対して、解雇になるのではないか、あるいは自分はこれだから駄目だととても深刻に捉えてしまう方がいます。それを1日中、あるいは1週間、1カ月も引きずることもありました。そういった注意や指摘をWillysmに書き込むことで、気づきのきっかけや学びの一端に変えてあげることはできないだろうかと思ったのです。単にいいことを3つ書くというのではなく、マイナスと思えることも前向きな気持ちに変えるきっかけにできるような表記、ここでは失敗はしたけれど新しい学びを得た、いい経験になったと思えるような誘導の仕方がWillysmにあったらいいなと思いました。これにはかなり期待しています。

※写真撮影の時だけマスクを外しております。 インタビュー時はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを確保しております。

※写真撮影の時だけマスクを外しております。
インタビュー時はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを確保しております。

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